松本会員ブログ「どうする地域社会(1)」

私は、世帯数500、人口1500人ほどの地域づくり協議会(自治振興会)の会長であり、10年にわたり、南砺市内に31ある協議会連合会の会長を務めています。我が地域は、砺波平野の最南端の山際に位置し、市が定めた山間過疎地域で、豪雪地でもあります。

南砺市は、平成16年の平成の合併で、4町4村が合併して誕生し、20年が経過しました。南砺市の人口は、合併当初6万人を超えていましたが、現在は4万7千人台に減少しました。高等教育に進学した若者が戻って来ないのです。結婚する世代がいないから、子供が生まれない。市内で生まれる数が年々激減しています。当地域もその最たるもので、人口減少率・高齢化率は市内でも最も高いグループです。今地域社会を維持している中心は、団塊の世代です。あと5年で、全員が80歳を超えます。10年後どうなるか想像することは困難ですが、空き家が急増し、担い手が激減し、広大な農地の耕作が不可能となり、さまざまな団体の役員のなり手が枯渇し、集落の維持が困難な集落が出るなど、地域全体のコミュニティ機能が崩壊しかねません。

人口減少・超高齢化・多死・少子化問題は、全国共通であり、南砺市だけでなく、県内全ての市町村に共通する課題です。政府は今になって、「異次元の少子化対策」と。掛け声は勇ましいが、効果的な中身はないように思われます。各地方自治体は競って子育て支援策のアイデアを出していますが、そんな小手先策で子供が生まれるはずがない。役場が笛を吹いても住民は踊らないのです。高度成長期以降は、農民が全員サラリーマンに変質し、若者は都会の有名企業への就職を夢見て、親もそれを願った。今老々夫婦だけの世帯はその結果です。

ブログ原稿締め切りが迫っている今日(12月4日)、同じ隣保班の独居老人女性が亡くなりました。優秀な息子が3人いますが、いずれも都会に行き、長い間顔も見ていない。晩年自分の親がどんな生活をしていたか、田圃は誰が世話していたか、何処のお寺の門徒か、そもそも葬儀とは何か、葬儀屋は何処か、何も知らないのです。班長と私が段取りしながら、この原稿を書いています。

南砺市は10年前に第2期総合計画で、「誰一人取り残さない一流の田舎」を目指すとしました。どんなに人口が減っても持続可能な地域を創り、住民全てがそれぞれの役割を持ち、助け合い、誰もが真の幸せを感じる地域を取り戻すと表明したのです。

具体的な取り組みの紹介は、次号に続きます。

松本久介

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