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『働かないおじさん問題のトリセツ』 シリーズ書評
柳原正年 富山社会人大楽塾 リポートシリーズ その⑤
前回は「働かないおじさん」を生む原因は、能力不足より、「WILL(やりたいこと)・MUST(やるべきこと)・CAN(できること)」によって発生する問題であり、解決策として、「人事向けトリセツ」及び「上司向けのトリセツ」について記載しました。
今回は「働かないおじさん」本人の変化のステージ「本人向けトリセツ」(第5章)と、それをサポートする「同僚向けトリセツ」(第6章)について記載します。
筆者のいう「本人の役割」とは、自分の意思で「ありたい姿」に向けて変化を起こすことであり、本人が葛藤を乗り越えていく過程の支援であるとしています。
先ず、第5章のまとめ(p.205)をご覧ください。
■「働かないおじさん」本人が自ら変わりたいと思うことで変化が始まる。本当に変わるためには、自分の「ありたい姿」について真剣に考えることが大事。
■上司が本当に腹を割って「不都合な事実」も伝えてあげる。それに対して拒否反応を示すのは、「人として普通」である。
■人はすぐには変われないが、本人が本音を吐き出し、上司が真剣に傾聴することで、ほとんどの人は、4つのフェーズを通して少しずつ変わっていける。
*4つのフェーズとは
1.否定フェーズ 2.抵抗フェーズ 3.探求フェーズ 4.決意フェーズ
■「ワクワクする、ありたい姿」を、本人が自由に探究し、上司が共感や関心を示してあげる。
■最終的に、変わることが楽しいと感じるようになり、変化が習慣化することがゴールである。(決意フェーズ)。
決意したことを実行するためには、承認欲求と自己実現欲求の扱いが大事。
キャリアネット北陸では、この段階を、キャリアシフト・コーディネーターが講座の中で支援する役割を担います。
次に、「働かなくなったおじさん」と同じ部署になった同僚の立場からの「同僚向けトリセツ」について説明します。
年下の立場から職場を活性化するための「働かないおじさん問題」に向き合う方法を取りあげています。
第6章まとめ(p.235)
■「働かないおじさん問題」の解決を上司任せにせず、同僚や部下の立場でも自分のこととして取り組んでみる。
■「陰口」ではなく「表口」。「非難」ではなく「感謝」。
フィードバックで、望ましい方向に相手の変化を促す。
■ボスマネジメントでは、自分の視点や都合だけでなく、上司や先輩の物語(ナラティブ)を理解して接する。
■「働かないおじさん問題」と向き合うことが、自分のリーダーシップ開発につながる。
次回は、「人生100年時代、活き活きと働くキャリア戦略」について連載します。

柳原 正年
キャリアネットワーク北陸 参与
富山社会人大楽塾 代表
