☆8月は、会員の山田智子(さとこ)さんからの寄稿をお届けします。山田さんは、キャリアカウンセラー、がんピアサポーターなどで社会貢献されています。4月の「北陸イグナイト&キャリネット広場」のゲストスピーカーとして講話された際に、お勧めくださった書籍の紹介などをしていただきます。
おススメの本の紹介です。
「明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい」
樋野 興夫(ひの おきお)著(幻冬舎)
暑い日が続いておりますが、みなさまいかがおすごしでしょうか。
オリンピックで選手の頑張りに感動する一方で、コロナウィルスの感染はどんどん拡大している。いつしか不安な気持ちが心の澱となって沈んでいる。こんな時こそ、みなさまへ「言葉の処方箋」を贈ります。
実は、2021年4月の「北陸イグナイト&キャリネット広場」でゲストスピーチをした際に、私のバイブルとして、この著書を紹介させていただきました。イグナイト&広場では、「明るく楽しく人の役に立つ」というテーマで、ライフラインチャートをもとに、自分の人生についてお話をしました。まずは、その辺りを少しお伝えします。
1.突然のがん告知からがんピアサポーターの活動まで
突然のがんの告知は56歳のとき、乳がんにり患したことです。この先もずっと続くと思われていた人生に、期限が付いたと思いました。5年先、10年先のキャリアプランは、どこかへ吹っ飛び、「来年は元気だろうか、5年後生きているだろうか」と不安でいっぱいになりました。
治療がひと段落した後、命は助かったけど、何だか心も身体もつらいのです。「この先、私は何のために生きて行くのだろう」、「再発するかもしれないし、そんな私に何ができるのだろう」と悶々としていました。そんな折、乳がんの患者会のことを知り、勇気を出して参加しました。患者仲間の方々に、涙を流しながら思いっきり胸のうちをぶちまけました。気持ちがスッキリしたのと同時にがん患者仲間の方々が明るく人生を楽しんでいらっしゃる様子に元気づけられました。
そうだ!学んできたカウンセリングスキルを活かして、がん患者さんのモヤモヤを傾聴させてもらおう。ちょうどその年の秋に、富山県がん総合相談支援センターが開設されました。そこで、がんピアサポーターの活動を知り、翌年、がんピアサポーター養成講座を受講して、がんピアサポーターとしてがん患者さんに寄り添う活動を始めました。
2.「言葉の処方箋 」との出会い
がんピアサポーター活動の中で、樋野興夫(ひの おきお)先生の「がん哲学外来」のことを知りました。たまたま、先生の講演を聞く機会がありました。著書の中でご自身のことを「暇げな風貌で」とおっしゃるとおりの方で、温かさのあるゆったりとした語り口に魅了されました。
先生は患者さん一人ひとりに「言葉の処方箋」を出してくださいます。
がん哲学外来とは、ズバリ「偉大なるお節介」。
自分を押し付けずに相手の気持ちに寄り添えば、同じ景色が見えてくるし、自分が困っているときこそ、他の困っている人を助けるのが「偉大なるお節介」だそうです。
「人はどう生き、死ぬまでに何をするべきか」を考えたとき、私は死ぬまで「偉大なるお節介」をさせてもらおうと心に決めています。
樋野先生の「言葉の処方箋」が、皆さまへの素敵な贈り物となりますように。
2021年8月
山田 智子