岡野絹枝
明日がある、明日こそ。と、いろんなことを先延ばしにしていました。まだ当分は健康だし、それなりにすることもあるし・・・。
5月初旬、突然右脚に激痛がはしり、脊柱管椎間孔狭窄症にすべり症もあると診断されました。今年は補助金を二つも申請し、他の役員に押し付けることのできない煩雑な手続きや作業があり、手術を避けたい想いもありで、2か月間我慢していたら、とうとう歩けなくなり、手術となりました。少しばかり大がかりな手術と1か月の入院後、リハビリ通院しています。長い人生の中で捻挫もしたことのない私には、初体験です。
脚に損傷はないのですが、すっかり痛めてしまった神経と削げ落ちた筋肉を回復させるにはかなり時間がかかるようです。若い理学療法士の人たちに教わりながら、姿勢正しく歩く練習、筋力をつけるトレーニング。丁寧に説明してもらう筋力回復の仕組みは、どれも興味深く、なるほどがいっぱい。職業とはいえよく勉強してるね~、と、昔の習い性で彼らを誉めたりしています。
正座ができたときは、飛び上がりたいほど嬉しく、脚がぱんぱんにむくめば落ち込み、コルセットの下にある傷が痛めば不安になり・・・。うつむいてはいけないので、ソックスを履くのに手間取り、かつて母がソックスを履くのに一苦労していた姿と重ね合わせ、愛おしく思い出したり。どれも新しい発見ばかり。と言えるのも、快復できると信じているからです。でも、元に戻らない状態で生きていくリスクもあるのです。
身体をねじることや、しゃがむことをしてはいけない身体。重い物も持ってはいけません。私の家の両隣は、88歳と82歳の夫婦と、88歳の独り暮らしの女性です。今までは、自宅、独り暮らしの隣家、向かいのお地蔵様の雪かきもしていました。少なくとも今年の冬は何もできません。いや~、まいったな~。まだ冬が来ないので、そんな言葉で濁していますが、どうしたものか、現実はなかなか厳しい・・・。
聴いてほしい話に軽くアドバイスされると、つい、「ひとごとだと思って~」と言うことが何と多いことでしょう。
私は、補助金事業を申請するときのキーワードに、「他人事から自分事へ」、「できるときに、できることを」と書きました。
お正月の地震を体験していなければ、今でも玄関に防災リュックはないままだったでしょう。今回の手術・入院の体験がなければ、普通に生活できることをこれほどありがたく感じることはなかったでしょう。でも、そんなリスキーな体験はしないに越したことはない。では、どのようにしたら、「他人事を自分事」にできるのかを考えました。考えて考え抜いたあげく、「話をし合う」ことだという結論に達しました。「こんなときはどうする?」、「すごく良い情報があるよ」、体験談や情報を集め、それらを交換するだけでなく、話をし合うのです。
「話をし合う」ためには、同じ環境や同じ人とだけでなく、自ら出かけ、異なる年代、異なる視点の人たちと交わり、相手の話を傾聴し、自分の体験や収集した情報を話す。話をし合うことで、「共感」が生まれ、やがて自分事として感じるようになり、自分に適った「対策」を立てることができるようになると考えました。
キャリアネットは、「自分事」として、どんな対策を提案できるのだろうか。エイジングしていく私たちの周りは、待ったなしの高齢社会です。災害も頻発します。そこで、自分たちができる範囲で、「高齢者の孤独・孤立を防ぐためにミドルシニア世代ができること」をテーマにした二つの補助金講座を申請し、採択されました。まずは講座を受講する人たちで、「自分事」にするために「話をし合う」ことから始めたいと思います。
去る9月14日には、第1回「健康生きがいインストラクター養成講座」が開催されました。1回目から受講者の方たちは和気あいあい。きっとすぐに意気投合し、話をし合われるようになると思います。
この度の手術で、人生100年時代に生きることも考えることができました。私たちは年齢を重ねるごとにどこへ向かっていくのだろう。そして、最後はどうなるのだろう、どうしたいのだろう。家族や親しい人に囲まれ、笑顔で、「ありがとう」と言える最期を迎えられるだろうか。
「終活」。そういえば、エンディングノートを買った記憶はあるけど、何も書かないままで今に至っている。やっぱり「ひとごと」だったのです。
先日のイベントチーム会議で、「思いを伝えるノート」の話が出ました。忘年会に、それを組み入れる企画を検討中とのことです。
今度こそノートに書きます。こうしてほしい、こうされたくない・・・。わがままな言葉ばかりが並びそうですが、一生懸命生きてきた自分にOK-OKと、どうか微笑むことができますように。