柳原会員ブログ「新春事始め②」 人生100年パートナーとしてのキャリアネット活用法 第1回:キャリアという見えない資産づくりを考える

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会員の皆様、今年もよろしくお願いします。
「キャリアネットワーク北陸」は、本格的に到来したデジタル革命にライフシフトするため、「ウェルビーイング(幸福感)」向上プラットフォームを構築し、キャリアシフト支援をしていく段階に入りました。

ウェルビーイングとは、肉体的、精神的、社会的にもすべてが満たされた状態をいい、指標は「心身の健康・経済的ゆとり・家族職場地域とのつながり」など、人生100年に及ぶ幸福感を高める基本項目です。

富山県は、1月6日、県民の幸せの状態(ウェルビーイング)を図る指標を発表、県民を花に見立て、「一人ひとりが自分らしい花を咲かす」ことができるよう、ウェルビーイング向上に向けさまざまな施策を実行すると発表しています。(読売新聞2023年1月7日記事より転載)

ウェルビーイング指標の発信01

「第1回:キャリアという見えない資産づくりを考える」


人生100年時代、寿命が延びれば働く期間が長くなり、生活資金のための貯蓄の重要性も高まります。
その間には、産業や雇用の在り方も変化します。人生100年という長寿がもたらす恩恵は、基本的には「無形の資産づくり」といえます。
つまり長い人生には「生きがい・やりがい」というお金に換算できない「無形の資産」を、「学びの世界」を通じて蓄積していく必要があるということです。

キャリアとは、一般的には「積み重ねた実地の経験(職業経験)やそれに伴う能力開発連鎖」のこと(Wikipedia)を意味します。昭和ロールモデルの日本型雇用は、「就職」ではなく会社を選ぶ「就社」というシステムでした。
新卒一括採用、社内教育で経験を積み重ねるジョブトレーニングで生産性を上げてきました。すなわち「金太郎飴型(どこを切っても同じ顔)」社員づくりです。

しかし、グローバル化、デジタル化した現在の世界経済では、「金太郎飴型」雇用システムは機能不全となりました。人生100年時代の国際標準は、異能集団を束ね成果を上げていく「桃太郎型」(イヌ、サル、キジの異能集団を束ね、未知の隠(おに=隠れたアイディア)に打ち勝つ「チャレンジ型」人材活用システムが求められているのです。

2016年に大ヒットした、『ライフシフト(LIFE SHIT)・人生100年時代の人生戦略』東洋経済新報社、リンダ・グラットン(ロンドン・ビジネススクール教授)著では、日本人に対し、人生戦略を100年時代に向けて変革(ライフシフト)することを提案しています。
これから世界で起こる第4次産業革命(DX, AI、ビッグデータ、IoT、バーチャルリアリティ)では、人間の脳で処理していたことをソフトやアプリが肩代わりし、更にAIがそこに組み込まれていくことで、その究極の姿がスマート化(人類が賢く)していくことであると示唆しています。
スマート社会の開発には、人生100年時代の戦略(考え方)・戦術(行動)の再構築が必要であり、メタバース(デジタルを現実化する技術)と経済の未来を見据えた第4次産業革命を乗り切るための知恵を出し合う「働き方革命」が必要であるとアドバイスしています。

現在の日本には、人生100年時代を、「全てが大転換する時代」としてとらえ、ライフシフトによりサバイブ(困難な状況で何とかやっていく)技術のヒントを学び、コラボレートするネットワークが必要となっています。
このネットワークには、従来の金太郎飴型のハローワークシステムは機能しません。
むしろ「人生計画と学びと働く楽しさ」をトータルとして実現できるキャリアアップの場(「キャリアネットワーク北陸」のような、人生を通して参加し、学び実践できるネットワーク)を提供するネットワークが求められているのです。

伊藤穣一著『テクノロジーが予測する未来』によれば、働き方は「組織型」から「プロジェクト型」に変わり、文化は、人々の「情熱」が資産になる。アイデンティティは、私たちが、複数の「自己」を使いこなして生きていくこと、教育の社会は学歴至上主義から脱却するなどを提言しています。

桃太郎型へのライフシフトは「無形の資産づくり」としての宝物を発掘してくれます。
無形の資産とは、「良い人生」とされる優しい家族や素晴らしい友人、高度なスキルと知識、肉体的・精神的な健康に恵まれた人生などのことをいいます。
無形の資産は、それ自体に価値があることに加え、有形の金銭的資産の形成を助けるという点で、長く生産的な人生を送るためのカギを握る要素でもあります。
ここでは、生まれつきの要素(遺伝特性)や学習環境(教育レベル)は、親の生活環境(経済力)により影響されるので除外し、成人してからの3つの要素で説明したいと思います。

1つ目は「生産性資産」:人が仕事で生産性を高め成功し所得を増やすのに役立つ要素。
2つ目は「活力資産」:大雑把にいえば、肉体的・精神的な健康のこと。
3つ目は「変身資産」:100年ライフを生きる人たちは、その過程で大きな変化を体験し、多くの変化を遂げることになる、そのために必要な資産で、自分についての知識と多様性に富んだ人的ネットワークは変身の基盤を作り出します。変身資産をダイナミックにするには、「実際の行動」が重要です。

私たちの日常生活の多くは、決まった行動パターンで構成されています。決まった行動を日々繰り返しているのが日常であり、その習慣の重要性は無視できません。
それがあるからこそアイデンティティが形成され、仕事に取り組む環境が整備されていくのです。
既存の行動パターンは、自分についての理解を深めたり、外的な要素の影響を受けたりすることによって崩れていく、そうした経験が「新しい生き方」を意識的に模索する出発点になるのです。

キャリアネットワーク北陸は設立3年を経て、こうした人生100年時代を俯瞰し、自分のアイデンティティを確認するライフプランづくりをデジタル講座化し、会員に提供しています。「転職情報提供ネット」ではなく、人生100年時代のパートナーとしての学び、研鑽、スキルアップなど、人生を「健康に豊かに楽しむ」という一生涯のパートナーとしての居場所ネットワークに成長してきたと思います。

「新春事始め」の提案は、デジタル社会への適応です。人生100年時代の生涯現役を目指す日本人にとっては、今すぐ始めなければならない課題です。それは、デジタル社会を最適に活用し、情報を収集・処理し、コミュニケーションを効果的に行うことができるようになることを意味します。デジタル社会においては、「情報の収集・処理、コミュニケーション、ビジネス、教育、生活」など、あらゆる分野でデジタル技術が使用され、避けて通れないからです。

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次回は、「ウェルビーイングという新しいステージを楽しむ~キャリアネットワーク北陸に期待される役割は~」と題して、皆様に「チャンスの神様」ゲット法をご案内したいと思います。

(注)「金太郎飴型社会」、「桃太郎型社会」は、富山社会人大楽塾が発案した造語で、昭和おじさん文化・社会の終焉を表現しています。

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   富山社会人大楽塾 代表    柳原 正年
   (キャリアネット北陸参与)

*富山社会人大楽塾
http://www.a–smile.info/

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