清水会員ブログ「私のチャレンジ : 暮らすように旅する滞在旅行に参加して~スイス グリンデルワルドへ~」

みなさま、こんにちは。賛助会員の清水たま子でございます。名古屋市在住です。
令和元年(2019年)に、理事長の岡野絹枝先生からNPO法人設立の趣旨を伺い、同じ学会に所属し、年齢もほぼ同じ、長年大切な友としてお付き合いしてきたこと、趣旨に賛同し、私も学び続けたいと思ったことから、少々遠方であるので賛助会員として名前を入れていただくことにしました。4年前の設立記念のフォーラムで3人のご講演を拝聴し、感動して、もっと学ばねばと気を入れたことを覚えています。コロナ禍以来なかなか富山まで行けませんが、定期的にメルマガを配信され、すばらしい活動に拍手を送っています。そんなことで、今や、皆様の積極的な活動に励まされるばかりになりました。
私は70代。キャリアネットでは上の年代層に入ると思いますが、それなりにチャレンジを続けています。今回は、9月14日から24日まで、11日間のスイスの旅で見たこと、知ったことなどを書き留めてみます。お読みいただければ幸いです。

今回の旅行に参加しようと思い立ったのは、カルチャーセンターで、「海外と日本の知られざる文化」講座を受講して、講師の熱弁に興味をそそられたというのが理由です。
愛知県丹羽郡扶桑町にあるクルーズを専門とする小さな旅行会社ですが、スイスをこよなく愛し、スイスの隅から隅まで知り尽くしているのではないかと思われるそこの社長に導かれ、表記の旅に20名が参加しました。

グリンデルワルドは、名前は誰もが知っているという三つの山岳アイガー、メンヒ、ユングフラウの麓の町です。そこには、ホテルもありますが、写真のようなシャレ―(貸別荘)がいくつかあって、旅行客に人気で、ずいぶん前から予約をするのだそうです。私たち20名は、それぞれのグループの人数に合った部屋を借り、そこを拠点にして、観光をしたのです。私のグループは6人部屋を借りて5人で生活をしました。内部は3LDKのマンションといったところですが、風呂・トイレは2か所あり、角部屋でしたからベランダが広くあり、快適な間取りでした。ダイニングキッチンは広くゆったりとして、使いやすくできていました。


グリンデルワルド滞在中7日間に乗った列車は、乗り継ぎをいれると何本乗ったのかと、数えきれないほどです。それに加え、湖クルーズ3回、ケーブルカー・ゴンドラ・ロープウェイで、山頂近くまで登りワクワクしました。中でもマッターホルン・グレーシャー・パラダイスに行くゴンドラは、冬には凍り付くという4000m級の高い所に、どのようにして造られたのかと不思議な思いすらしました。ワイナリーへも行きました。


これらに乗るにはスイストラベルパスをあらかじめ購入して、紙に印刷されたQRコードを設置された機械に、また、列車では車掌がスマホにそれにかざすだけで実にスムーズでした。紙は私たちの集団だけで、ほとんどの人が各自のスマホにデータが入れてあり、それをかざすだけでした。
トラベルパスは便利です。列車の表示はわかりやすく、発着時刻は正確でした。そのうえ、博物館に入るのに割引があるのです。全体を通して次の3点について、添乗員からの受け売りも含め、感じたこと、考えたことを記します。

①観光と酪農の融合政策(パイロットプロジェクト)観光立国の威厳
至る所で、牛が、中には羊もいて、ゆったりと草を食んでい ました。どの牧場も下草がきれいに刈られ、冬に向かって牧草を蓄えて保管している光景もあちこちに見られました。牧場は氷河によって削り取られた跡地は畑作には適さないので、牧草の種を蒔くなどして、今の形ができたそうです。農地は国土の24%あるとのことですが、地理的条件が悪いし、農機具等かかる経費が高いため、農業の競争力は低いので、国の手厚い保護が必要なのです。緑の牧草地が広がり、地域によって建て方が異なる建物が点々としている光景は、観る者を和やかな気持ちにさせてくれます。そんな牧草地の上や中を、無数にワイヤーが張られ、高い山々を辿る列車・ゴンドラ・ロープウエイ・ケーブルカーなどが多く設置されています。その場の持ち主には国から補償がおり、それが安定した収入になるのだそうです。そこで農家は常に牧草を刈り、きれいにしておく、観光立国スイスは、国をあげて、豊かな景観を作り上げているのでしょう。

②SDGsの実施 自分の国は自分で守る
持続可能な試みは、環境問題ばかりではありませんが、土産物店が並ぶツェルマットの街では、CO2の排出規制で、その地域は電気自動車でなくてはならないという条例があるそうです。観光客が溢れる通りに、音もなく近づいてくる車にヒヤッとしますが、どの車もスピードを落として、注意深く走っているように見受けられました。もうひとつ、永世中立国であるスイスが軍隊を持っていて、徴兵制度があり、19歳になると徴募が行われる、それは戦闘のためではなく、国防や災害支援といった人々の安全や平和を守るためにあるということです。厳しい訓練を受けながら、金曜日の午後から土・日にかけて自宅に戻ることができるとのことで、迷彩服に大きなキャリーケースを引っ張っている若者も見かけましたが、ちょうど私たちが乗った列車の同じ車両の7、8人は片手に酒瓶をもって、大きな声で歌ったり、おしゃべりをしたり大騒ぎをして、解放感を味わっているかのように見えました。降りるときには、箱に酒瓶や食べかけのものなどをきちんと入れて持ち帰り、座席はゴミ一つなくきれいになっていました。

③物価高
スイスの物価は高いと聞いていましたが、ここにきて、円安で、さらに高いと思いました。ちょうど10年前に、スイスの他の場所に行ったときの記録を見ましたら、1スイスフランが87円でした。それが、今回、この期間は大体164円~170円でした。EUに加盟していないのでユーロは使えず、支払いは、スイスフランかクレジットカードのみでした。空港で両替したフランはすぐに底をつき、後は、クレジットカードで支払いました。スイスの労働生産性は、世界最高水準にあるそうで、人件費は高く、それが物価の上昇につながっていると聞きました。そのせいかどうかわかりませんが、空港以外では、日本人の姿を見かけませんでした。秋というより冬に向かう時期と言われましたが、ちょうどよい気候で、日本の暑さから逃れ、澄んだ美しい空気に包まれ、快適でした。私は金沢大学3年生になる姪の子供(姪孫てっそんと書くのだそうです)を連れて行きました。

60代や70代に交じっての若者一人ですからどうなることかと少し案じましたが、「Wi-Fiの設定はどうすればいいの?」「日本にラインを送りたいので、電波を分けて」などなど、声がかかると、スマホは任せてとばかりに、皆に溶け込んでいました。また、逆に、彼女の「子供たちとキャンプをする」というサークル活動を知った、その道に詳しい方から、1枚の葉でその木の名前を知る方法や、子供たちが喜ぶ遊び方などを教えてもらったと喜んでいました。デジタル化が進むことは目に見えています。それが苦手な高齢者の旅には、スマホ大好きの若者一人に同行してもらうと、ウインウインのよい関係ができるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

私は、今回の滞在型旅行を通じ、同室で生活した人は親しい人ではありましたが、食料・日用品の財布を共にして気持ちよく過ごすための心遣いやコツも学んだような気がしています。これからも、物見遊山の旅にとどまらないで、ちょっとだけ背伸びして、考える旅のチャレンジを続けたいと思っています。

清水たま子

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