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『働かないおじさん問題のトリセツ』 シリーズ書評
柳原正年 富山社会人大楽塾 リポートシリーズ その④
変化をおこそう。
著者の難波 猛 氏(人事コンサルタント)は、時代の変化に対応できない社員を、経営者権限で強制的に変化させるのではなく、不本意ながら「働かない、働けない」おじさん達を、適切な働きかけで、自らの意思で人生を充実したものにするために、「チャンスの神様」をつかむ方法を紹介しています。
その方法とは、本人だけでなく、上司や経営者(人事)にも責任や問題があることを自覚し、三位一体となって問題の解決に取り組むメソッドであると述べています。
本人は真面目でコツコツ働いているわけですから、当人が「働かないおじさん」になってしまった状況を作ったのは、「真面目な人の方向性をうまく導けない」直属の上司、会社の人事や経営者も責任の一端を担っています。それゆえに、「本人、上司、人事の3者」が本気になって、問題解決に協力して邁進する体制を整えなければなりません。
本文では3から6にかけ、具体例と解決策を以下の通り提案しています。
3章「人事向けトリセツ」、4章「上司向けトリセツ」、5章「本人向け変化するトリセツ」、6章「同僚向けトリセツ」にかけて具体的事例が紹介されています。
今回の書評では、「まとめ」のみを紹介します。
まとめの解決メソッドは、我々が所属する「キャリアネット北陸」のメイン事業として既に用意されているからです。
このトリセツ課題解決について、キャリアネット北陸会員は、自分を含めどう関わっていくか思考することが大事だと思います。
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第3章まとめ(p.115から)
■「働かないおじさん」は、能力不足より、WILL(やりたいこと)・MUST(やるべきこと)・CAN(できること)のズレによって発生する。
■人事の役割は、「ズレに気づける仕組み」と「ズレを埋め立て直すための支援」。
■最優先のWILL(やりたいこと)を広げるには、おじさん本人が、「ありたい姿」「やりたいこと」を考える機会や場を作る。
■MUST(やるべきこと)の誤解や曲解を防ぐたには、会社の方向性を説明するだけでなく、本人の口で言語化してもらう。
■CAN(できること)は、環境や社会や技術の変化に対応していく能力開発が必要。これからの時代は、「変化し続ける能力」「学び続ける意欲」が大事になる。
■「働かないおじさん」にも様々な類型がある。人事は、個々の事情を考えながら、人事制度・研修・転身支援などでサポートする。
第4章(p.159から)
■「働かないおじさん」本人の前に、上司の感情と意識を整える。「フィードバック」してあげないと、どうなるか?」を考える。
■「相手にとって耳の痛い事実」を正面から指摘しなければ、相手は変わらない。上司には「嫌われる覚悟」が必要である。
■部下との面談では、「話す」より「聴く」ことが大事。沈黙を恐れず、耳と心を傾けてじっと待つ。
■ロー・パフォーマー(仕事ができない人)でも良い行動は褒める。ハイ・パフォーマー(仕事ができる人)でも良くない行動は指摘する。「人」や「性格」ではなく、「行動・事実」に注目する。
■現在はロー・パフォーマーだったとしても、長く組織に貢献してきたベテランに対し、敬意と期待をもって接する。
以下次号に続く
柳原 正年
キャリアネットワーク北陸 参与
富山社会人大楽塾 代表