植村会員ブログ「なりたい自分」から「ありたい自分」への気づき

植村まゆみ

こんにちは、キャリアネットワーク北陸理事の植村まゆみと申します。
キャリアネットでは事務局全般およびホームページ運営等のIT業務を担当しています。

石川県金沢市生まれ。大学進学で上京し、社会に出てからは大手トイレタリー会社にて、調査、商品開発、広告宣伝、販売促進の戦略立案から推進まで、マーケティング実務を経験しました。この経験を地元のために生かしたいという想いで約20年ぶりにUターンしたこともすでに遠い昔、あれから早や23年が経ちました。

金沢に戻ってからは、いろんな仕事に関わりましたが、共通して取り組んでいるのは、マーケティング業務です。誰に、どんな価値(商品やサービス)を、どのように伝えて、顧客になってもらうか、すなわち顧客を創造するために企てて画策する仕事です。
一番長く携わった仕事は、2004年に石川県が設置した若者のための就職支援センター「ジョブカフェ石川」の運営です。センター長として開設までの企画立案および運営全般に取り組みました。「いしかわで働きたい若者と、県内企業との幸せな出会いをサポートする」というミッションのもと、石川県の担当者や現場で若者をサポートするキャリアコンサルタント等のメンバーとともに、サービス開発やマッチングの仕組みを構築するために奮闘しました。県内の大学・短大にも足繫く通って協力・支援をお願いしましたが、当時、金城大学短期大学部に在籍されていた当NPOの岡野理事長との出会いもその頃でした。

2016年にジョブカフェ石川を辞してからは、平行していくつかの仕事に関わることが多く、いつも何かしら宿題を抱えている毎日です。それぞれの分野の情報を収集したり、勉強をしなくてはできない仕事ですから、時間も労力もかかります。それでも続けていられるのは、やはりマーケティングの仕事が心から好きで楽しめているからだと思います。もちろん一人でできるわけはなく、得意先のチームメンバーと一緒に検討を重ね、知恵を合わせることが大前提です。うまく運んだときに「腕を組みながらほくそえむ」「仲間と一緒にお互いを称え合う」ことが至福の喜びです。

ほかにもNPO法人北陸地域活性化推進協議会の事務局長としても活動しております。毎月第3木曜定例でビジネス交流会を開催しています。「Bizcafe無門庵」と名付けたビジネス交流会は、先月2周年を迎えましたが、毎月30~40名が集う会になりました。メンバー登録者も約60名となりました。毎回ゲストを迎えてミニプレゼンテーションをしていただいた後、軽食と飲み放題付の交流会になりますが、異業種交流の場ですから、これまで出会ったことのない方同士がビジネスで繋がるような事例も出てきております。
イノベーションは思いがけない出会いや組み合わせから生まれるものという信念のもと、私自身のライフワークとしても、この場で、仲間と一緒に、北陸地域の活性化を企てて画策したいと思っております。ご興味のある方はぜひご参加ください。

ここまで精力的に活動しているようにみえますが、実は50代のころは、なんとも言えない焦燥感にかられて、自分の心をうまくコントロールできず、もどかしさを抱えていました。今思えば、いわゆる「ミドルエイジ・クライシス」のど真ん中にいました。人生の折り返しを急に意識し始め、自分の人生で何も成し遂げていない、でもこれから何かを達成する時間も気力・体力も足りないことに焦りました。この先どこまで仕事を続けられるのかと不安が募りました。更年期もありました。管理職の経験もしてきましたが、決して順調だったわけではなく、女性だから、そしてこの土地だからというような理由で理不尽な思いをすることもまだまだ多いのが現実です。東京では悩まなかったようなことに悩み、あのまま東京で頑張っていたら、もっと違う仕事人生だったかもと、マイナスのループに陥っていました。

しかし、不思議なもので、還暦を過ぎたとたんに、呪縛が解かれたような気分になったことに自分自身おどろきました。人生の曲がり角に至るまでは悩んだけど、曲がり角を過ぎてしまったことを自覚したら、ある意味諦めがついたということでしょうか。
岡野理事長にそんな気持ちを伝えたら「諦観」という言葉を教えていただきました。

 ※「諦観」は、仏教の教えに由来する言葉で、従来の目標を放棄するのではなく、
  目の前の物事を「あるがまま」に受け入れる心理状態を説明しています。
  特に自分の力のみでは打開できない状況を冷静に受け容れ、いわば「悟り」の
  境地に至ることを意味します。

悟りの境地に達することは到底できませんが、「あるがまま」に受け入れようとしている自分がいます。思えば私は、ずっと何かになろうとしながら、このままでは何者にもなれないような気がして焦っていました。しかし還暦をいよいよ過ぎて、自分の人生に限りがあることを意識してから、「なりたい自分」より「ありたい自分」という言葉をふと見つけて、なんだかしっくりきました。
人生限りがあるから、今を大切に、「ありたい自分」を続けていきたい。そんなふうに自分の心を切り替えられるなんて、歳をとるのも悪くないものだなぁと妙に納得しています。

仕事のお声がかかるうちは感謝の気持ちをもって精いっぱいお役にたちたい。無門庵も新たな展開ができるようにもっと育てたい。年老いた親の介護には日々時間を取られるけれど、今も子の心配ばかりしている親には感謝しかないのだから最後までちゃんとお世話する。読書したり映画を見たり、趣味も我慢せずに存分に楽しむ。5年前に始めた太極拳も健康のために続ける。モンゴルの大草原に魅せられて、これまで3回訪れたけど、また必ず行こう。
さて、残りの人生どこまで実現できるだろう。ちゃんと企てて画策しなくては!と思うこの頃です。
(長々とお読みいただき、ありがとうございました。)

追伸)
次回12/1(日)のキャリアネット「ゲストトーク&忘年会」のテーマは、「エンディングノート・メイキング」。
チラシには「終活は、人生の終わりを迎えるための準備ではなく、むしろ、これからの生活をより豊かにする「生きるための」プロセスです。」とあります。
まさに今の私の気分にピッタリで楽しみです。皆さまもぜひご参加ください。
https://career-net.org/seminar/event_review_2431201/

  植村まゆみ

※Facebookページで「Bizcafe無門庵」の活動報告をしています。ご興味のある方はぜひご覧ください。https://www.facebook.com/chap.mumonan

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