松本会員ブログ「どうする地域社会(2)南砺市の「小規模多機能自治」取組紹介」

南砺市は、4町4村合併後10年目に、第2期総合計画制定と同時に、合併前に旧町村に建設してきた、似たような公共施設を半分に減らす再編計画を行い、職員定数削減計画を、合併10年で100人削減としましたが、第2次計画では、更に100人削減することも決めました。

更に、最も重要な方向性として、行政は、「社会共通資本」とする病院・学校、鉄道などの公共交通、上下水道・道路や橋やトンネル、介護福祉施設などの持続可能な施策に全力で取り組んでいます。一方で、市内に31ある自治振興会の組織再編を行い、地域事情や課題の異なる状況下で急激に進む人口減少であっても、持続可能な地域コミュニティを維持し、誰もが安心して暮らせる南砺市を創ることを決めました。

考えれば解ることですが、現状は、男女問わず全ての人が65歳まで働く時代で、元気な人は70歳まで会社に頼まれ働くことが求められています。これまでは、60歳定年後、地域における様々な役を引き受けて、地域は成り立ってきました。例えば、自治会・公民館・営農組合・老人会・婦人会・防犯組合・交通安全協会・民生児童委員・食生活改善推進員・PTAなど、それぞれ縦割りで、役所が下請けで作った組織が、国・県・市町村で団体ごとに役員を構成して動いてきましたが、気がついてみたら、なり手がいなくなるのです。

南砺市は、県内は元より、北陸で初めて「小規模多機能自治」と呼ぶシステムを導入しました。31の市立公民館を廃止して「交流センター」とし、自治振興会を「地域づくり協議会」と改称して、バラバラだった各種団体を一元化した組織に改組したのです。

地域づくり協議会は、会長の下に、総務部会・生涯学習部会・福祉部会・安全安心部会・子育て支援部会・環境部会・産業振興部会などで構成されており、全ての事業を、全員で情報を共有して取り組むことにしました。

県内では射水市、高岡市、氷見市がスタートし、石川県、福井県からも視察が相次いでいます。自分の家族の幸せのためだけでなく、集落・自治会や地域全体が安心して暮らし続ける社会でないと、結果として自分や子供・孫の世代が幸せな暮らしができないことに人々は気づいてきました。

会社で働きながらも、地域に無関心でなく、みんなで助け合い、自分のできる範囲で行動することです。そんな地域で育った孫たちは、Uターンし、結婚し、子供を故郷で生み育てると確信しています。今の若者は気づき始めているのです。東京や大企業が幸せでないことに。美しい農景観、綺麗な水、朝採れの野菜、優しい人たちがいかに大事なことかと。

今私たちは、孫たちに、活き活きと暮らすこと、皆で助け合うこと、地域のために行動していること、そんな姿を見せることが必要です。そんな地域だけが生き残れると思います。

以上に述べてきた南砺市の取組みですが、具体的にどんな事業に取り組んでいるかを文章化するのは難しく、直接スライドなどで説明する機会を、来春企画いただけるそうです。願わくば、
田中幹夫南砺市長をゲストとして招いて基調講演いただく提案を預かっています。是非ご期待ください。

松本久介

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