山田会員からの投稿、「私のこころの友」というブログを拝読し、自分のこころの友って何だろうと考え始めたところでした。立ち寄った本屋で話題の漫画を見つけました。
マンガ『ぼけ日和』
著者:矢部太郎(芸人・マンガ家)
原案:長谷川嘉哉(認知症専門医)
3通りの家族の物語です。絵も、会話の言葉も、優しくて愛おしくて、でも痛みも伴って心に刺さってくるのです。何度読んでも、最後には涙が出るのです。眼からはらはらと流れ出るのです。
マンガの中から拾った言葉を書いてみます。
・65歳以上の7人に一人は、MCI(軽度認知障害)になる。感情のコントロールが苦手になってくる。
・モノ盗られ妄想は、最も頼りにしている人に対して出る症状。それを知っていれば、もう少し優しくできたかもしれない。はじめにだれも教えてくれない。知識があれば、最期のときに笑顔で見送れる。
・着衣失行(服を着るのが難しくなる)⇒見当識障害(いつかわからなくなって、自分が子どもになる)⇒帰宅願望⇒周辺症状(幻覚など)などへと進行する。
・認知症の最大要因は「加齢」
・家族が怒ったことで、認知症が進行したケースはない。
・「誰だかわかる?」などと試さずに教えてあげる。「私はあなたの娘よ。」これが情報という名の安心のプレゼント。
・介護する人に余裕がなければ、患者さんを笑顔にすることはできない。だから介護家族だって遊びに行ってほしい。
・トイレの失敗、衛生観念がなくなってしまう頃、施設の入所を考える。介護負担が限界を超えても罪悪感から、もっと面倒見なければと思ってしまう人が多い。入所してもできることはちゃんとある。それは定期的に会いに行くこと。
・会うと家に帰りたがるのではと思ってしまうけど、そこは介護のプロに任せる。すぐに忘れても、会えば嬉しい。優しい気持ちはどこかに残る。
・命は永遠ではないことは、当たり前のこと。看取られる方にも看取る方にもさまざまな後悔があること。そして、残された者が、それを受け止めて自らの人生の糧とすること。みんな当たり前のことなのです。
・ロンググッドバイ(長いお別れ):ゆっくりさよならしていく。今日も「ぼけ日和」。
私には96歳の母がいます。90歳の卒寿祝いをした後に糖尿病で入院。そこで大変な経験をしました。点滴を取り外してしまうからと身体拘束状態に。あっというまに植物人間のようになりました。そこからの脱出は大変でしたが、ケアマネジャーなどの力を借り、サービス付き高齢者向け住宅に入居することができました。それからは、家族の手を借り、定期的に帰宅させていましたが、家に居たい母、一人では介護ができない私、心が痛む日々でした。その後、自宅が類焼。母の部屋も消失し、コロナ禍の中、特別許可をもらって母を連れ出し現場を見せ、悲しい想いをさせましたが、もの忘れが進んでいるので、自分の部屋も愛用の品々もあると思い込んでいます。そんな母に、せめてお盆にお仏壇にお参りさせてあげたいと思い、家族会議を開きました。結論は、見たこともない新しい家、自分の部屋のない小さな家を見せることの方が絶望感を味わせてしまうから、面会だけ続けていこうというものでした。
人間ってなんとも一方的な結論を出す生き物だと。でも精一杯考えて出した結論は、それで良しとしていいのではと、この本は教えてくれたように感じています。キャリアネット会員仲間からも、家族の介護が現実になってきたという便りをもらっています。それぞれの体験共有だけでなく、介護プロの方からも教えてもらい、前に進みたいと思います。
☆News!!
「介護の未来は、みんなの未来」このテーマを掲げて、富山型デイケアハウスを運営されている阪井由佳子さんを招き、「ゲストトーク&交流会」を開くことが決まりました。みんなで、「みんなの未来」を考えてみませんか。
岡野絹枝