今年も9月1日から3日まで八尾のおわら風の盆が催されました。1日に行きましたが、たいへんな人出で、例年より多いと感じました。
毎年協力工場の社長に招待され10年ぐらいになります。おわらについては私より詳しい方が多いと思いますが、私なりに感じたこと、思っていることを書かせていただきます。
招待してくれる方は地元で有名な胡弓の名人で、おわらのいろいろを教えてくれますが、呑みながら聴いているので、半分も頭に残っていません。おわらは、お米の種まきから収穫までの踊りです。会社の夏祭りで何度も習いましたが、仕草の意味まで教えてもらっていなかったので、覚えが悪く未だにヘタクソです。
名人の話ですが、演奏の地方(はやし)は、太鼓、三味線と胡弓。三味線は二つ三つはありますが、胡弓は必ず一つだけです。いわく胡弓は、ビブラートが特徴であり、三つあると、五木ひろし、細川たかし、森進一が同時に歌うようなものだと。なるほどと。
夏祭りは、花笠まつりやよさこい祭り、阿波踊りなど賑やかな踊りが殆どですが、なぜおわらのように哀愁を帯びた踊りができたのかは知りません。ご存じの方は教えていただきたいと存じます。
さて、おわらは現地で観るのが一番です。25歳までの若い女性が踊るおわらを観るたびに、「時分の花」という言葉を思い出します。
「時分の花」とは能で年齢の若さによって現れる芸以前の面白さ、一瞬の輝きですが、おわらでは、踊りの名手には出せない若いしなやかさや清楚さが心を打ちます。夜のぼんぼりの下で派手な色の浴衣姿に顔が見えない編み笠を被り踊る姿は、ほのかな色気も感じます。


しかし私は「時分の花」とはその年代、年代における輝きだと思っています。
若さは素晴らしいですが、60代、70代、80代になっても輝けるものがあるし、ありたいと思います。キャリアネット北陸では、いろいろな年代の方が輝いていて、参加するたびに感化させられる楽しみがあります。
今年のおわらは終わりましたが、来年はぜひ現地で観ていただければと思う次第です。
熊木信雄 記