ゲストトーク&交流会

2023.10.21 ゲストトーク&交流会 実施報告

    ゲストトーク&交流会 元気の出る人生の選択肢シリーズ【2】
    演題「介護の未来は、みんなの未来 ~ そして、私の未来」

    日  時    令和5年10月21日(土) 13:30~16:00
    場  所    サンフォルテ304号室
    ゲスト(講師) 阪井 由佳子氏
    (特定非営利活動法人にぎやか 理事長)

    阪井由佳子さんの親しみやすい雰囲気、明るく楽しいお話し口調の中で始まりました。ペアワークなどもあり、終始なごやかな雰囲気でお話に引き込まれていき、あっという間の時間で、まだまだ聞き足りないほどでした。参加者は、自分の今の状況や経験を振り返ったり重ね合わせたりして、身近なものとして捉えることができ、介護・老い・死を改めて考えるとても良いきっかけになりました。

    1)阪井さんご自身のこと
    福井県生まれ。物語 アルプスの少女ハイジの「クララが立った!」のお話がきっかけで、理学療法士(国家資格)になりたいと思われ、21歳で難関を突破して見事合格。そして老人福祉施設で働く理学療法士第1号となり、多くの高齢者と関わってこられました。
    28歳のとき、「今やらないと後悔する」と思い立ち、自宅を改造して「富山型デイサービス」(赤ちゃんからお年寄りまでだれでも利用できる)『にぎやか』を開設されました。34歳で終の棲家『かっぱ庵』を開設。ここではその方が亡くなるまでご家族と共に面倒を見て、通夜や葬儀までも執り行われるとのこと。48歳で『にぎやか食堂』を開設し、蜂蜜販売などもされています。また、介護の人材育成にも取り組み中で、自分でやる以上に人にやってもらうことが難しいと感じていらっしゃる。
    ただ、こんなに明るく元気で活動的な阪井さんも「鬱病」になられたそうです。自分では気づかないくらい頑張ってしまい、病院の先生に言われるまでは気づかず、分かったときには涙があふれ出たと同時に、欝だと分かってホッとしたということ。薬で治療を続けたがなかなか効果が出ず、周りの環境を変えてみようとバンド活動を始められ、鬱の自分と生きていこうと決められました。

    2)本人の行きたいデイサービスが必要
    「なぜデイサービスへ行くのか?」一人で家においておけない、食事ができない、お風呂に入れないなどの理由から。誰が利用することを決めているかというと、本人ではなく家族が決めることの方が多い。自分の人生は自分で決めていい!

    3)上手に老いていくために「幸齢者」になる
    『80代の壁をラクに乗り越えられる本』著者和田秀樹さんの言葉より

    4)老いるとは何か = 先の未来を知っておくこと
    ・老い上手な人と老い下手な人がいる。老い上手な人は、ボケにくい。
    ・あなたはどこで最期を迎えますか?の問いに、国民の半数以上が自宅で最期を迎えたいと言っている。実際は、病院死が8割。
    ・死は日常生活の延長にある。生きることと同じ。

    5)親の老いを受け入れる家族について
    ・受け入れ下手な人:1位 息子41.6%、 2位 夫18.6%、 3位 娘16.1%
    (*虐待の数字でもある。老いを受け入れられないので、「そんなはずはない」と思ってしまい虐待につながることがある。)
    ・受け入れ上手な人:赤の他人(嫁など、責任のない人)
    ⇒子育てと介護は他人に任せる。自分が面倒を見なければならないと思わなくてもよい。うまくサービスを利用する。

    6)まとめ
    ・老いを受け入れる。・老いを一人で抱え込まない。
    ・自分のことは自分で決める。
    まだまだ書きたいことがいっぱいありますが、阪井さんの講演動画を会員の皆様に配信することになりましたので、ぜひこちらの方をご視聴ください。

    終わりに、参加者の方の感想をいくつかご紹介します。
    ・自分自身の介護体験も思い出しながら、そのときの気持ちも湧き上がってきて充実したお話で感動しました。
    ・老いた母への思わず発してしまった暴言も反省していましたが、それは親への深い愛なんだという言葉がとても印象に残りました。
    ・老い方が上手・下手な職種や、親の老いを受け入れることが上手・下手な家族のお話が納得できました。母の介護がすぐ先にありそうですが、少し冷静に対処できそうなお話ばかりでした。ありがとうございました。
    ・「本人の気持ち」を大切にする姿勢に感銘を受けました。
    ・富山型デイサービスの介護は、すばらしい!阪井さんに会えて本当に良かった。
    ・「一人で介護を抱え込まない」ということを改めて思いました。
    ・最期は「おひとりさま」になることが決まっているのですが、最後まで自分の人生を自分で決めるため、その覚悟を今からしっかり持っておこうと思いました。
    ・介護、医療、死は、制度や法律だけでなく、「本人の想い」を大切にすることだと知りました。

    記録:金堂佳永子